相談は、つらい話だけをする場所じゃない
「相談」と聞くと、どんな場面を思い浮かべますか?
多くの方は、「つらいことを打ち明ける場所」と思われるかもしれません。もちろん、それも大切な役割です。心の中にたまったしんどさや悲しみを、安心して話せる場所は必要です。
でも、よく考えてみてください。
日々の中には、つらいことばかりではなく、うれしいことや達成できたことも、必ず隠れています。
「今朝、庭に花が咲いていた」「鳥のさえずりに気づいた」「雨上がりに虹を見た」--そんな小さな出来事でも、心のバランスを整える大事な栄養になります。
けれど、不思議なことに、こうした「うまくいった話」や「うれしい出来事」を人にするのは意外と難しいものです。
「自慢していると思われたら嫌だな」
「マウントを取っていると思われたくない」
かつて誰かに「調子に乗るんじゃないよ!」と、うれしい気持ちをぺしゃんこにされた経験がある――そんな記憶が、蘇るのです。
結果として、せっかくの達成感や喜びを胸の奥にしまい込み、心の栄養にできないまま過ごしてしまう方が少なくありません。
たとえば――
「今日は早起きできた」
「散歩中に季節の花を見つけた」
「新しいレシピに挑戦した」
そんな日常の小さな喜びも、“うれしい報告”です。
そこから少しずつ――
「苦手な人に笑顔で挨拶できた」
「練習していたことがスムーズにできた」
「自分から意見を言えた」など、小さな挑戦も心の栄養になります。
そして、もちろん――
「資格試験に合格した」
「難しいプロジェクトを成功させた」
「職場で大抜擢された」
こうした大きな達成感も、あなたの成長の証。
本来なら、人と分かち合い、何度でも噛みしめたい瞬間ばかりです。
相談の場は、本来「うまくいった話」や「うれしい出来事」も遠慮なく話していい場所です。
安全で安心な関係の中で、あなたの成功や喜びを一緒に喜んでくれる人がいれば、その経験は何倍もの力になります。
「よくやったね!」と認めてもらうことで、自分の中に新しいエネルギーが生まれ、次のチャレンジへ踏み出す力になります。ほめられると、「お世辞」「下心がある」と思う人は、せっかくの栄養補給のチャンスを逃してしまいます。
私のところへ来られる方の中にも、最初は「こんな話をしてもいいのかな」と遠慮していた方が、少しずつ自分の喜びを口にできるようになり、表情が明るく、行動も軽やかになっていく方がおられます。そんな姿をたくさん見てきました。
しんどい話を吐き出すことも大事。
でも、うれしい話や誇らしい出来事、そして日常の小さな喜びを語ることも、同じくらい大事。
それは、自分を大切に扱う「心の栄養補給」なのです。
今日、あなたの中に眠っている「よくやった私!」や、小さなうれしい出来事を、そっと思い出してみませんか?
そして、その喜びを安全な場所で、誰かと分かち合ってみてください。
きっと、あなたの明日は少しだけ軽く、少しだけ明るくなります。